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2009年08月05日

『私のゴルフ』 備前焼陶芸作家 難波 誠治 -その1-

備前焼の魅力は
使いこんでこそわかる

今回紹介するゴルファーは、備前焼作家の難波誠治さん。備前焼窯『周作窯』を受け継ぐ三代目。

現在、県内の備前焼作家は500名以上いると言われているが、その中でも難波さんの生み出す龍の焼き物や生活雑器は、群を抜いて高い評価を得ている。

備前焼は、釉薬を使わず土と火が織りなす自然の美しさを楽しむ伝統美術である。他の焼き物との違いは、使えば使うほど艶を増し、より味わいと美しさを増すところ。備前焼は、平安時代より継承している歴史ある芸術品である以前に、人の生活に密着した「道具」なのである。

ちなみに難波さんは、タレントの岸田敏志さん(2008年7月号参照)と親交が深い。岸田さんが難波さんの父・周作さんに弟子入りしていた関係上、難波さんにとっては岸田さんは弟弟子にあたる。二人はゴルフに一緒に行ったりする仲で、今回の取材も以前行なった岸田さんへのインタビューが縁で実現したものだ。

「作家らしさ」よりも
「自分らしさ」を大切に

作務衣を着て、さも気難しい風貌で…と勝手に陶芸作家像を思い描きながら『周作窯』の玄関をくぐると、難波さんはTシャツに綿のズボンといった軽装で気さくに迎えてくれた。

「作業しているときはいつもこんな感じですよ(笑)」

聞けば、ある会社の社長がたずねてきた時に、ゲゲゲの鬼太郎の「ねずみ男」のTシャツで出迎え、とても驚かれたことがあるのだとか。いわゆる「陶芸家」のイメージを抱いて訪れた人は、初対面の場合、ほとんどの人がそのギャップにびっくりするようだ。

そんなところに作家らしさよりも自分らしさを優先したいという、難波さんの飾らない人柄が伺える。

自宅はギャラリーショップも兼ねていて、棚には食器や花瓶などの生活雑器が並ぶ。難波さんの作るコーヒーカップや茶碗はまるで羽根のように軽くて持ちやすい。

焼き物は "重い" というイメージのある人は多いかもしれないが、その軽さに多くの人が驚く。手にとった瞬間、「このカップでコーヒーを飲んだらどんな味かな」と思わせるような魅力がある。難波さんの作品は、まるで器が「ぜひ使って」と言っているようだ。

一体どのような構想を練って製作しているのだろうか?

(右上へ続く)

「生活雑器を作るときは、"妄想" から入ります(笑)。自分がデートに出掛けたとき、僕はコーヒーで彼女はカフェオレ…カフェオレのカップは深めで…会話もしたいからケーキも注文しよう。ケーキのお皿はこんな形が食べやすいかなとか、空想のストーリーの中で作品が生まれます。

あとは宜子さん(奥さま)とアイデアを出しながら楽しく作っています。"カレーが食べたい、では美味しく食べるためにこんな器はどうかな" 、とか。食事って楽しいものじゃないですか。だから作っている本人が楽しく作れば、使ってくれる人も楽しい気持ちで使ってもらえると思うんです。」

備前焼陶芸作家 難波 誠治さんの工房

ここが難波さんの工房だ。作家のスタイルは十人十色であるが、難波さんの場合は24時間いつ寝ても起きてもいいし、仕事をしてもかまわない。『ひらめきをすぐに実践できる体勢にする』は難波さんの祖父の言葉(だから早朝のゴルフのときは辛い!?)。

工房に通されると、現在製作中の龍花瓶がそこにあった。難波さんが龍を作る時には、何かが乗り移ったように気迫を発し、周囲を圧倒してしまう。今は、製作から離れた時に意識を切り替えるように心掛けているのだそう。ちなみにこの仕事場、じつは某国民的アニメーションのオープニングで使用された。県庁がスポンサーだったので、窯の名前まではクレジットされることはなかったのだが、その代わりにテレビ局がセル画をプレゼントしてくれたそうで、今でも大切に宝物にしているという。

備前焼陶芸作家 難波 誠治さんの工房で見つけたテルテル坊主

日々、テレビや雑誌などの取材を受ける機会も多い難波さん。こだわっているのは、今まで自分と縁のあった人にまつわる「物」を一緒に撮影してもらうこと。画面に映ることで、それが難波さんからその人へのメッセージになる。例えば壁にかかっているテルテル坊主。これは旅先の旅館の女将が「いつも笑顔でいられますように」とわざわざ手作りでプレゼントしてくれたものなのだそうだ。

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